なぜ世の中にはブラック企業があるのか?

なぜ揉め事が起こるのか?

なぜ腐った政治家がいるのか?

 

欲を出すからです。

自己中になるからです。

 

ではどうしたら良いでしょう?

 

「そんなことをして何のためになるの?」の、「何のため」は自分のためです。

自分のためではないことを多くの人がおこなえば、自己中は減って争いごとはなくなります。

 

世界は平和になります。

 

 

なぜ、「掃除(綺麗にする、綺麗に保つ)」 が、平和を呼ぶかご存知でしょうか?

 

デュッセルドルフで、あるいはドイツで、そしてヨーロッパで、世界で、あのニューヨークの1980年代後半の無法都市状態を発生させるわけにはいきません。

 

掃除には不思議な力が隠されています。でも実は不思議でも何でもありません。

 

まずは新宿歌舞伎町のお話しをご存知でしょうか?

 

以前は繁華街としてかなり汚く汚れて犯罪が多発していましたが、「日本を美しくする会」 というボランティアの掃除の会が何度か掃除をしている内に、道沿いにある商店や飲食店の人たちが掃除に加わり始めました。

 

その活動は少しずつ広まり、通りに面したお店の人たちのほとんどが参加するまでになりました。そうなると、通りの様子は一変します。

 

それはそれはきれいになってしまったそうです。そうすると、どういうわけか不思議なことに犯罪率がガタッと下がりました。

 

アメリカの犯罪学者、ジェームズ・ウィルソン氏とジョージ・ケリング氏のブロークンウィンドウセオリーという(割れた窓)理論があります。

 

廃校となり使われていない校舎や人の住んでいない建物の窓が1枚割れているのを放置すると、「誰も気にしていない」、「責任を取っていない」と、間もなく他の窓も割られ始め、「ここでは窓が割られることが許される」 という信号が出てしまい、最後にはほとんどの窓が割られてしまいます。

 

ニューヨークでは1980年代の後半、夕暮れ時になるとだれも外を歩かず、街路がゴーストタウンになるほど犯罪が起きていました。殺人事件が年に2千、重罪事件が60万件以上。アメリカ一の犯罪都市です。それはまるで映画やアニメに出てくるようなバイオレンスの世界でした。

私もその頃丁度ニューヨークに行く機会がありましたが、自分のわずか数メートル前で起こった、黒人男性による黒人女性のハンドバックの引ったくりには本当に驚きました。

 

地下鉄は特にひどく、「危ないから地下鉄には絶対に乗るな」 と言われるほどでした。

 

夜間の地下鉄には各車両に警官が1人づつ乗り、特に2両目以降に乗るのは自殺行為のようだったそうです。電車の車両は落書きだらけで汚れていましたが、市の交通局はそれを5年かけて一掃しました。

 

その数約6千車両。

 

路線ごと、車両ごとに計画を立てて清掃、折り返し地点には清掃基地を設けて、落書きのある車両を見つけるとすぐに消すか、その車両を外す徹底ぶりです。すると不思議なことにやはり犯罪率もガタッと下がりました。重犯罪事件に関しては7割以上も減りました。

 

その後、当時の地下鉄警察の指揮官ブラットン氏は、地下鉄内で頻繁に起こる重罪事件に対して、一見的が外れたような無賃乗車の撲滅に取り組みました。

 

逮捕者の数は今までの約5倍。でもそれでどういう訳か重罪事件が激減しました。

 

その後、市長に就任したジュリアーノ氏は、ブラットン氏をニューヨーク市警の長官に任命し、落書き消し、歩行者の信号無視、信号待ちの車の窓拭き、公共の場所での泥酔や空き缶などのゴミの投げ捨てなど、軽犯罪の取り締まりを徹底的に続けた結果、犯罪発生件数が急激に減少して犯罪都市の汚名を払拭することに成功したのです。

 

ニューヨーク市は全米でも最も安全な大都市となったとされ、ニューヨーク市を浄化した市長としての名声を得ました。ギネスブックにおいても「最も多く犯罪率を削減させた市長」としてノミネートされています

 

 

荒れている学校や会社で掃除を普及させると、これも不思議なことに荒れ、廃れが治まってしまい、良い学校、良い会社になってしまいます。それが日本で今、掃除に加わる人の数が10万人以上に増えた理由です。日本では、警察もその活動を認めて協力しています。暴走族や非行少年・少女が更生してしまうからです。

 

日本のその事情をどこかで知ったサウジアラビアの教育大臣、早速自国の学校でも試してみたところ、生徒たちに良い影響が現れて、生徒が掃除を行う学校の数が当初の100校から、いまや数千校にまで増えたそうです。

 

学校の掃除を生徒が自分で行うというのは世界で唯一日本だけだと思いますが、ゆくゆくはサウジアラビアの全ての学校が日本と同じようになりそうな勢いです。

 

さらにインドでは現在、ガンディー生誕150年を迎える5年後を目指して、インド美化運動が始まりました。

 

20148月に訪日してその親日家ぶりが知られたインドのモディ首相の掃除が始まったのです。ガンディー生誕145年を迎え、5年以内に祖国全土を美しくしようという目標の元に、モディー首相自らほうきを手に、ニューデリー市内を掃除してめぐり、「インド独立の父」を祝いました。

 

例えば首相は、突然マンディール・マーグ警察署を訪れて署の駐車場の掃除を始めたりします。

 

警察署長は勿論ビックリ。

 

モディー首相いわく、「別に驚かせるつもりじゃなかったけれど、警察官だろうが政治家だろうが、全国民が年間100時間を掃除に費やせば、インドの不衛生なイメージは、クリーンなものに変わるだろう?」

 

首相が呼びかけた「インド美化計画」に当初は無関心だった人々もそれ以降、神出鬼没の首相がいつ現れても問題がないよう、あちこちで街頭を掃き清める姿が見られるようになったそうです。

 

さてその掃除、実は西洋医学と東洋医学の関係にも似たところがあります。

 

全米一の犯罪都市だったニューヨークを普通の町に戻した活動は、いきなり重犯罪事件の防止対策をおこなった訳ではないので、最初は「弱腰だ! どうして(直接的な) 防犯対策、つまり取り締まりの強化などをしないんだ!」 とかの非難がごうごうだったそうです。

 

でもそこには信念があったので活動は続きました。小さな犯罪を徹底的に排除していくことで、ニューヨークではどんなに小さな犯罪であれ容赦なく罰せられるとのシグナルを送り続け、それが安全な街作りにつながったのです。

 

西洋医学では身体に異常が出ると、出た異常を治そうとします。でも東洋医学では、「なぜその異常が出るのか?」 と考えて、その元を断とうとします。

 

臭いものにフタをするだけか、あるいは根本から取り除いてしまうかの違いです。

 

落書きや風紀の乱れ、あつかましい物乞いなどの比較的些細なこと、会社での風紀の乱れ、家庭での置いた靴や服の乱れ、細かい整理整頓にこのブロークンウィンドウ理論が当てはまります。

 

 

それはシステム思考では、その構造を分解して理解し、改善・改良するのに最も有効なポイントであるレバレッジ・ポイントを突いたら大きく変わるという、小さな力で大きな効果を得る考え方とも似ているそうです。

 

そしてそれは周りの環境を変えるということでもあります。

 

ニューヨークの犯罪率の激変の背景には、大量の犯罪者の他の町への移動などがあったのでしょうか?

 

それとも市民全員が急に善悪の区別を付けられるようになったのでしょうか?

 

数万、数十万の犯罪に走りやすい人々が突然犯罪を起こさなくなったのですから、何かあるはずです。

 

実はそこには背景・環境の問題があります。犯罪を起こしやすい人は、ある一定の確率でどこにでもいます。でもそれだけでは犯罪は起こりません。

 

そこに、「犯罪を起こしても大丈夫そうだ」 という背景・環境が揃うと犯罪が起きてしまいます。

 

どんな状況や環境の中でも、天使のような人もいれば極悪人も勿論います。いえ、実は実際には、どんな天使も極悪人もその環境に左右されます。天使のような人から、「えっ?」 と思える言葉や行動が出たり、その逆もしかりです。

 

でも多くの人は、状況や状況に左右される幅が大きく、その状況・環境が大きな影響力を持ちます。だからこそ日本では311を代表するような、太古の昔から続く天災に対しての日本人の取る態度が世界で賞賛されます。

 

会社でも同じで、ミスが多い、クレームが多い、社員に活気がないなど、効率が悪く居心地が悪い職場も、ブロークンウィンドウ理論と同じで、細かな部分を見過ごしたり疎かにした、環境作りの失敗の結果です。

 

例えば、挨拶が無い、電球の球切れがそのまま、トイレが汚い、仕事机の上は書類だらけ、社員間の言葉遣いが悪いなどです。

 

このような細かな点をひとつづつ改善していけば、ささいなミスやトラブルも防止でき、社内の環境も改善されます。そこで掃除が見直されているのです。

 

家庭でも同じで、挨拶をしない、置いた靴が乱れている、脱いだ服をすぐにたたまない、開けた後にすぐに閉めないなど、些細なことのように思えても「キチッと」 したことを徹底することがとても大切です。

 

平和を広げるための、シグナル発信となる私たちの活動に加わりませんか? 

 

 

出典: 鍵山秀三郎著書、「日本を美しくする会」ウェブサイト、イーズ未来供創フォーラム他多数

 

 

たかが掃除、されど掃除。 

 

昔は 「ペンは剣よりも強し」 と言いましたが、今は 「箒は剣よりも強し」

  

平和のために...  

 

子孫のために...